■ ビザに示されている期限と合法的にアメリカに滞在できる期限の違いについて

私がよくお客様に比喩する言い方ですが、入国審査が関所だとすると、ビザとはアメリカ合衆国に入国する通行手形です。ビザに記載されている有効期限は、”その日付までアメリカに自由に入国できる”ことを意味します。決して”アメリカに滞在できる”ことを意味しているのではありません。ですからビザは、有効期限内であれば関所である入国審査を通過することはできるというだけの書類なのです。

ビザはアメリカ国内にいると基本的に発行してもらえません。アメリカに入国した後、例えば学生ビザから就業ビザに変更する場合、その手続きはアメリカ国内で移民局を通してでき、ステータスチェンジによる滞在許可はもらえますが、ビザはもらえません。ですからビザをもらうには、一旦アメリカ国外に出て、外国の大使館・領事館で申請する必要があります。もし、過去に不法滞在をしている場合には、必ず自国の大使館・領事館を通して申請をしなくてはなりません。

この再申請についてですが、上で述べましたようにビザは通行手形ですから、アメリカ国内に一旦入ってしまうと、合法的に滞在できるかどうかはビザの期日は関係ありません。ではどこに滞在できる期間が記載されているかというと、I-94というアメリカ入国の際に必要な書類で縦に細長い書類に記載されています。I-94は通常飛行機の中などで配布され、皆さんが飛行機の中で記入するものですが、入国管理官はI-94の記入事項が確かかチェックします。そして、I-94の一部をパスポートにホチキスで止めて皆さんに返してくれます。この小さな書類が皆さんの合法的な滞在期間を決めるのです。入国したらすぐにI-94の滞在期限を確かめてください。学生の場合、このI-94にD/Sと書かれている場合がほとんどです。D/Sというのは、Duration of Statusの略で、就学が終わるまでは滞在をしていて良いということです。就学中はアメリカに合法的に滞在できますが、もし、学生ビザが失効していて、一度アメリカを出国してしまうと、再入国の際に新しいビザを取得しないと入ってくることができません。通行手形を取得しないといけないということです。

●ビザの期間とI-94の期間の例

2003年1月に入国した人がいるとしましょう。ビザの有効期限が、2004年の1月1日としてI-94には2005年の12月1日まで滞在できると書いてあるとしましょう。そうすると2004年1月1日現在ではビザは失効していますが、アメリカ国内に居る限り2005年の12月1日までアメリカに合法的に滞在できる事となります。ただし、2004年の1月1日以降にアメリカから一旦出てしまうと、有効なビザがないわけですから、もう一度ビザの再申請を受けなければ入国できない事となってしまいます。

学生ビザで期限が1年間とされているビザで入国したとしましょう。入国の際にI-94にD/Sと書かれます。1年間を超えても就学をしているのであれば、合法的にアメリカ滞在することは可能です。しかし、1年間を超えてアメリカに滞在する場合に、もし一旦アメリカを出国することになると、もう一度合法的な学生ビザをアメリカ国外で取得してから入国する必要があります。

●カナダ・メキシコなどの隣国への一時的出国のルール

カナダ・メキシコ等の隣国にアメリカから一時的(30日間を上限)に出国する外国人に対しては、アメリカを出国していないこととするというルールがあります。ですので、一旦アメリカを出国しても、再入国が可能になりますので、再度ビザを取得しなくても良い場合があります。逆に、ビザウェーバーやBビザでアメリカに入国し、一旦外国に出て、もう一度新規の滞在期間を得たいと思っても、メキシコやカナダに出るだけでは、出国したとは見なされません。



本稿は2004年11月現在の情報です。その後のアップデートについては現役移民弁護士ブログ・法律ノート等を合わせてご覧ください。また、本稿は弁護士によって執筆されていますが、一般的な情報を開示しているだけであり、個々の事例や質問に対して アドバイスをしているわけではありません。

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