■ E-1、E-2ビザ(貿易商、投資家ビザ)

Eビザは、Lビザと並び、就労ビザのなかでも比較的被用者が自由にアメリカ国内で活動でき、会社の経営などにも関われるゆえに、その審査も非移民ビザの中では最も複雑で厳しく、申請に必要な書類も膨大です。そしてEビザには貿易商ビザと呼ばれるE-1と、投資家ビザと呼ばれるE-2があります。

Eビザを申請するには、その申請のスポンサーとなる会社の50パーセント以上は、日本企業または日本人が所有していなければなりません。この会社のオーナーはアメリカ国外に住むか、もしくはE、L、H、Fビザ等(永住権では不可)でアメリカに住んでいることが条件となります。

Eビザは外国でもアメリカ合衆国と協定を結んでいる一定の外国の会社にしか発行されません。日本もその一つとなっています。つまり、一定の外国がアメリカに対して外国の会社が通商や投資をスムーズに行えることを目的にして発行されるビザなのです。

またEビザを申請するには、会社が実体のある貿易または投資をしていなくてはなりません。ビジネスの内容や企業規模によってその認められる額は様々ですので一概には言えませんが、判断基準として、貿易の場合はだいたい一年間に原価で少なくとも30万ドルから50万ドルの商品(小売価格でない事に注意)を通商貿易していること、投資の場合は少なくとも30万ドルから50万ドルを投資していなければ、認められないと考えてよいでしょう。さらに貿易の場合は、このビザをスポンサーする会社はその51パーセント以上を日米間でしていなければなりません。その他年間貿易高や貿易回数も大事な判断基準ですが、この「貿易」という定義について移民局は寛容で、国際的な銀行業務、法律業務、運送会社等も含むとしています。一番簡単なのは、アメリカで現存する大きなビジネスを買った場合です。ですから、小さな会社やペーパーカンパニーではこのビザは発行されることはまずありません。

そしてさらにEビザを申請するには、このビジネスによって現在、あるいは近い将来にアメリカ人を雇える規模であることが必要です。よって家族経営の会社や、単に株や不動産に投資しただけではEビザは発行されません。

Eビザは1回の申請で、有効期限5年間を上限として発行されます。しかし、Eビザの以上の条件を満たしている限り、延長し続ける事ができますので、HビザやLビザのように発行年数の上限がないのが有利なところと言えるでしょう。

E-1ビザを取得できる典型的な例は、会社の所有者、またはその必然的な雇用者、例えば、マネージャーや管理職の人などが挙げられます。E-2ビザは日本食レストランを経営するオーナーなどがその典型的な例です。付帯ビザは、E-1の人には付帯E-1ビザ、E-2の人には付帯E-2ビザが発行されます。 Eビザの付帯ビザ保持者は簡単な手続を経て、アメリカ国内で働くことができます。

E-1ビザは通商にスポットが当てられているので、「実質的な通商量」があるということが必要条件となります。移民法では残念ながら「実質的な通商量」というのを法律上定義していませんので、ある程度グレーな部分がありますが、経験がある法律事務所等ではある程度の目安を知っているはずです。移民局の見解では過去「継続的なビジネスの流れ」という目安がでています。また、金額に関しても通商量の金額は数万ドルでも認められている場合もあれば、数十万ドルでも認められない場合があります。

E-2カテゴリーはどの程度の額を投資しているのか、ということがポイントになります。この額については、法律で決められているわけではないので、法律事務所によっても様々な見解があるところです。過去に申請を多くおこなっている事務所等に頼って、情報を得ることも必要だと思います。また、時代によっても、ビジネスの内容によっても違いがでてきます。ただし、投資が少ないだけではなく、ビジネスの内容や規模が小さな商店のような場合には、E-2カテゴリーが認められない場合が多くあります。

●申請書類

1.DS-156(スタンダード非移民ビザ申請用紙)※
2.Eビザ専用質問用紙※
3.カバーレター
4.サポートレター
5.サポートドキュメント※
6.パスポート(現在有効のものを含め過去10年分)
7.写真(5cm×5cm)(2,3葉多めに用意しておくと良いと何かあったときに便利です)
8.申請費用振込済み領収証(DS-156に添付)
9.返信用A4サイズ封筒(切手240円つき)※
10.DS-157(非移民ビザ補足申請書)※
11.DS-156E
12.クリアーホルダー

※1.DS-156
現在はオンライン申請のみ可です。http://japan.usembassy.gov/visa-forms/ds-156j.htmで入力後、申請書を印刷します。 申請費用は100ドルですが、http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhvisa-7133.html で日本円の換算金額を調べ、東京三菱銀行のATMで振込み、振込領収書をDS-156の3ページ目の余白にテープかのりで貼り付けます。インターネットバンキングでの振込は認められていません。

※2.Eビザ専用質問用紙(E Supplement)
Eビザは審査内容が他の移民ビザに比べて複雑なため、特別な用紙が用意されています。

※5.サポートドキュメント
永住する意思がないことを証明するため、例えば日本に仕事があることの証明、家族が日本に住んでいることの証明、日本に不動産や銀行口座等を持っていることの証明、収入をどこから得ているのかということの証明、あとは、Eビザ特有の、会社関係の証明書類が必要です。例えば、会社の株券や登記簿謄本、銀行に口座等を持っていることの証明、そしてE-1の場合は年間貿易高などビジネスの実態を示す資料や貿易の51パーセント以上を日米間でしていることの証明、E-2の場合はその投資よって見込まれるアメリカ人雇用予定数などです。 ビジネスオーナーとしての証明、または重要な被用者であることの証明、ビジネスがどのように収入を生じているのか、貸借対照表、損益計算書、税務申告書、他のファイナンシャル・ドキュメント等。通商のカテゴリーで申請する場合は、通商に利用される注文書等。 E-2カテゴリーについては、投資の額を証明するもの、実際にどの程度の投資がされているかを証明する書類等。

※9.返信用A4サイズ封筒(切手240円つき)
返送の期間を短縮するために「速達」のはんこをつけ、速達分の切手を加えて添付するとよい。

※10.DS-157
16歳以上の申請者は全員提出の必要があります。

●面接

2004年7月1日以降、一部を除いてほとんどのビザ申請に、東京の在日米国大使館あるいは大阪の米国総領事館における面接が義務付けられることになりました。面接予約は3ヶ月前からウェブでできます。

http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-nivinterviewprep.html



本稿は2004年11月現在の情報です。その後のアップデートについては現役移民弁護士ブログ・法律ノート等を合わせてご覧ください。また、本稿は弁護士によって執筆されていますが、一般的な情報を開示しているだけであり、個々の事例や質問に対してアドバイスをしているわけではありません。

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