■ 家族を通して永住権を取得する方法

まず、前項(1)親族(Immediate relatives)を通して取得する方法ですが、永住権を申請できる外国人は以下の3つに分類されます。この方法で取得する場合は、人数制限はありません。

a. アメリカ市民権を持っている者の配偶者(その市民権保持者が死亡している場合、結婚を2年以上していた事と、永住権申請がその死亡より2年以内である事を条件にこの分類に含まれる)
b. 21歳以下の結婚していない子供で、少なくとも親の一方がアメリカ国籍を有する場合
c. アメリカ国籍を持っている21歳以上の子供の親

次に、前項(2)家族の優先順位にしたがって永住権を申請できる外国人は、以下の4つに分類されます。この4つの順位は下に行くほど永住権申請にかかる時間は長くなります。また、永住権をもらえる人数制限があります。

第一優先順位 結婚していない21歳以上の子供で、少なくとも親の一方がアメリカ国籍を持つ外国人
第二優先順位 永住権を持つ者の配偶者、及び年齢は関係ないが、結婚していない子供で、少なくとも親の一方が永住権を持つ外国人
第三優先順位 年齢は関係なく結婚している子供で、少なくとも親の一方がアメリカ国籍を持っている外国人
第四優先順位 アメリカ国籍の兄弟姉妹を持つ外国人

この優先順位に該当する場合、その外国人の配偶者及び21歳以下の子供は自動的に永住権が認められます。

● 結婚により永住権を取得する場合の特殊性

アメリカ国籍を持つ者と外国人が結婚してから2年以内にその外国人が永住権を申請すると、永住権を取得してから、2年間は条件付きの永住権となります。その2年間の間に離婚をした場合、その永住権は取り消されてしまいます。これは移民法が外国人が国籍を持ったものと結婚することが永住権取得目的ではないかと警戒しているからなのです。ただ、95年に制定された法律で、もし家庭内暴力等があった場合、一定の条件を満たし、I-360を申請・許可を受ければ、2年間経過していなくても永住権は取り消されません。また、永住権を取得し、2年経った後でも、もうひとつ規制があります。それは、もしその永住権を取得した外国人が離婚して新たに他の外国人と結婚することになった場合、永住権取得後5年間はその新たな配偶者のために永住権取得のスポンサーになれないという事です。
また、結婚による永住権申請のほとんどの場合、移民局による面接が要求されます。

●家族を通す場合の申請方法

まず、申請には2段階あります。第1段階は既にアメリカ国籍または永住権を持っている人が外国人の家族のためにする申請(Petition)です。これは移民局に対してなされます(日本にいる場合はアメリカ大使館が書類受付を代行をしてくれます)。その後、第2段階でまだ永住権を持っていない外国人本人が永住権を申請(Application)します。この申請は日本(大使館)でもアメリカ(移民局)でもできます。アメリカ国内にまだ永住権を持っていない外国人がいる場合2つの申請を一度にする事が可能です。

1つめの申請、Petitionについて
必要な書類
まず、全ての家族による取得に必要なのがI-130と呼ばれる書類です。次にG-325Aと呼ばれる書類があります。この書類は出生から今までの記録を書かなければなりませんが、親子で申請するなら親子とも、配偶者で申請するなら夫妻とも記入しなくてはなりません。その他に、出生証明書や日本の戸籍等が必要です。夫婦で申請するなら、結婚証明書などが必要になります。
2つめの申請、Applicationについて必要な書類 2つめは、永住権をこれからとる人が申請します。日本で申請する場合は、DS-230I, DS-169, DS-230II, I-134等の書類が必要です。あとパスポートや証明写真、また健康診断書等が必要です。アメリカ国内で申請する場合には、I-485、I-485A、G-325A、I-134が必要書類です。加えて、アメリカで申請する場合には指紋を取る事(FD258という書類)が必要とされています。指紋はI-130及びI-485を提出後、移民局から来る通知に指定されている場所でとることになります。加えて、I-94カード、証明写真、健康診断書等が必要となります。また、アメリカで申請中に、外国人が就労したいのならば、I-765という書類を提出して許可が下りると、永住権が取得できるまで就労する事ができます。
もし外国人が外国にいてアメリカ国籍を持つ者と結婚するためにアメリカに来たいならば、K-1というビザが用意されていますが、アメリカ入国から90日以内に結婚をしなければなりませんし、90日以上は延長できません。よって、日本人の場合はビザウェーバーがありますから、K−1ビザを使う事は比較的少ないでしょう。



本稿は2004年11月現在の情報です。その後のアップデートについては現役移民弁護士ブログ・法律ノート等を合わせてご覧ください。また、本稿は弁護士によって執筆されていますが、一般的な情報を開示しているだけであり、個々の事例や質問に対してアドバイスをしているわけではありません。

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