■ 強制送還・入国拒否について
911事件後、犯罪歴のある外国人等についての入国禁止、強制送還については、アメリカ合衆国は厳しく対処しています。永住権を持っていたとしても、過去に犯罪歴が複数ある外国人に対しては、厳しく対処を行っています。アメリカにすでに入国している外国人で強制送還にあっている方、また一旦アメリカに入国しようとして、入国を拒否された方は、できるだけ速やかに弁護士に相談してアメリカに滞在を続けたり、再度入国ができるように、移民法上の処理をする必要があるでしょう。

一旦移民局に入国拒否、または強制送還に該当すると認定されてしまうと、この認定は行政府の判断なので、その判断をひっくりかえすには、移民法に従って再審査を請求するか、判断に関して移民局内での再考を求めるしかありません。

●入国拒否および強制送還される主な事由

1.健康に関する事由(エイズ、精神状態、薬物濫用等)
2.刑法に関する事由(「道徳違反(moral turpitude)」に該当する罪で2つ以上、有罪とされた場合、道徳違反の罪を実際に犯した場合、売春関連の罪を犯した場合、麻薬に関する罪を犯したり、有罪になった場合等)
3.移民法に違反した場合
4.移民法上の書面について虚偽の記述があった場合

以上の事由に該当する場合には、移民局は入国拒否、強制送還の手続を開始することができます。

以上の移民局の手続が開始された場合、基本的には以下の4つの方法で、再審査を要求することができます。

(1)精神状態、肉体のコンディションの正常化、罪の無罪としての再請求
(2)入国拒否・強制送還事由にあたらないという主張
(3)入国拒否・強制送還事由が正当ではないという主張
(4)入国拒否・強制送還事由に関する免除申請

これらの主張については、本当に難しい法律の問題が存在しますので、本人のみで、行政裁判を進めていくことは不可能に近いと思います。刑事事件の処理も移民の事件にかかわってしまいますので、弁護士の協力が不可欠だと思います。移民事件のペーパーばかりやっている事務所では、こういった事件を扱うのは無理がありますので、刑事事件にも経験があり法廷をちゃんと経験している事務所に依頼をすることが必要です。(経験上、本当に感じることです。)



本稿は2004年11月現在の情報です。その後のアップデートについては現役移民弁護士ブログ・法律ノート等を合わせてご覧ください。また、本稿は弁護士によって執筆されていますが、一般的な情報を開示しているだけであり、個々の事例や質問に対して アドバイスをしているわけではありません。

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